浦和地方裁判所 昭和53年(行ウ)15号 判決 1987年1月26日
原告 酒井強
被告 西川口税務署長
代理人 杉山正己 和栗正栄 萩原武 川副康孝 ほか三名
主文
原告の請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実
第一当事者の求めた裁判
一 原告
「1 被告が原告に対し、昭和五一年一二月一〇日付でした昭和四七年分所得税決定処分及び無申告加算税賦課決定処分並びに昭和四八年分、昭和四九年分、昭和五〇年分の各所得税更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分をいずれも取消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。」と判決
二 被告
主文同旨の判決
第二当事者の主張
一 原告(請求原因)
1 原告は、被告に対し、昭和四八年分ないし昭和五〇年分の所得税につき、別表(二)ないし(四)記載の各「確定申告」欄記載のとおり確定申告をした。
2 これに対し、被告は、昭和五一年一二月一〇日付で、昭和四七年分の所得税につき別表(一)の「決定」欄記載のとおり決定及び無申告加算税賦課決定、昭和四八年分ないし昭和五〇年分の所得税につき別表(二)ないし(四)各「更正及び加算税賦課決定」欄記載のとおり更正及び過少申告加算税賦課決定(以下、これらを「本件各課税処分」という。)をした。
3 原告が右各決定に対して異議の申立をしたところ、被告は右申立を棄却する旨の決定をした。
4 そこで原告が昭和五二年六月九日国税不服審判所長に対して審査請求をしたところ、同所長は、昭和五三年七月三一日付で別表(一)ないし(四)の各「裁決」欄記載のとおりの裁決をし、原告は昭和五三年九月一日右裁決書謄本の送達を受けた。
5 しかしながら、本件各課税処分は、原告の生活が苦しいときには何の援助もせず、たまたま利益のあつたときに従前の経費・損失を無視して過大な課税をするものである点において著しく不当であつて、かかる課税は原告の努力を踏みにじり、その生活を根底から破壊するものであり、その根拠となつた所得税法及びこれに基づいた本件各課税処分は、いずれも憲法一一条、一三条、一四条、二五条、二九条に違反して無効である。
6 本件各課税処分は、適法手続に基づかず、かつ、理由のない推計課税によつてしたものであるから違法である。
よつて、原告は、被告に対し、本件各課税処分の取消しを求める。
二 被告
(認否)
1 請求原因1ないし4の各事実は認める。
2 請求原因5及び6の主張は争う。
(抗弁)
1 原告は、埼玉県蕨市中央一丁目一五番四号において建売業並びに土地建物の売買及び仲介業を営んでいる。
2 推計課税の許容性について
原告は昭和四七年分の所得税については確定申告をせず、昭和四八年分ないし昭和五〇年分の所得税については、被告が原告から提出された確定申告書を調査したところ、<1>昭和四八年分及び昭和四九年分の各確定申告書には所得金額のみが記載されているだけで、その計算の基礎となる収入金額及び必要経費等の記載が全く存しなかつたこと、<2>原告の事業規模等に比して申告所得金額が低額であると認められたこと、及び<3>被告が原告の開業以来一度も原告に対する調査を行つていなかつたことから、原告の申告に係る所得金額が正当に算出されていないと推認されたので、被告は、原告について調査を行うこととし、昭和五〇年九月三日被告所部係官らをして原告方事務所に赴かせたが、原告が原告方事務所における調査には応じられないこと、及び爾後においては原告自ら西川口税務署に出頭して調査に応じる旨強く申し立てたため、同年九月八日、同年九月一二日、同年一〇月九日、同年一〇月一一日、同年一二月四日、昭和五一年六月二二日、同年七月一六日、同年八月二六日、同年九月七日、西川口税務署庁舎内において、係官らが原告と面接し、調査に対する協力を要請したところ、原告は不動産取引台帳、売買契約書(売上げに係る契約書と仕入れに係る契約書)、小口現金出納帳(昭和四九年三月一日から同五〇年一月二五日期間に係るもの)及び「支払」と見出しのある帳面(昭和四九年一二月二七日から同五〇年八月の期間に係るもの。以下「支払帳」という。)を提示したが、右各帳簿の内容をみると、原告における日日の取引が正規の簿記の原則に従つて整然かつ明瞭に記載されていないことが明らかであり、右各帳簿の記載内容のみによつては原告の正確な所得金額を算出するのに必要な収入金額及び必要経費の数額を把握することは到底不可能であつた。そこで係官らは原告の所得金額を算出するために必要な右提示された以外の他の帳簿書類の提示を求めたが、原告は右帳簿書類の提出要求に応ぜず、調査の遂行は困難となつたため、被告は、原告の所得金額を実額で把握することができなかつた。
そこで被告はやむを得ず、被告の調査によつて把握した取引件数及び金額を基礎として、所得税法一五六条に基づき原告の昭和四七年分ないし昭和五〇年分(以下「本件係争各年分」という。)の所得金額を算定し、本件各課税処分をしたものである。
3 本件係争各年分の原告の所得金額について
被告は、所得金額の算定について、調査によつて原告の売上金額を把握し、これと同業者算出所得率を基礎として、本件係争各年分の算出所得金額等を算出することによつて認定したが、その明細は次のとおりである。
(一) 売上金額
(1) 昭和四七年分 九二三三万三六〇〇円
内訳は、別表1のとおり。
(2) 昭和四八年分 三億二七八七万七六九六円
内訳は、別表2のとおり。
(3) 昭和四九年分 五億〇〇三三万三四六六円
内訳は、別表3のとおり。
(4) 昭和五〇年分 六億七三二六万六四〇〇円
内訳は、別表4のとおり。
(二) 算出所得率
昭和四七年分 一七・七九パーセント
昭和四八年分 一七・〇〇パーセント
昭和四九年分 一九・〇二パーセント
昭和五〇年分 一七・三五パーセント
原告の住所地を管轄する西川口税務署並びにこれに隣接する川口税務署及び浦和税務署の各管内において原告と同種の事業を営む個人事業者で左記<1>ないし<3>の条件をいずれも満たす者を抽出し、右同業者について各算出所得率を計算し、これを基礎係数として算術平均値さらに標準偏差、限界値及び平均値を計算したところ、別表5の(1)ないし(3)(昭和四七年分)、同7の(1)ないし(3)(昭和四八年分)、同9の(1)ないし(3)(昭和四九年分)、同11の(1)ないし(3)(昭和五〇年分)のとおりとなつたので、この各「平均値」欄の数値をもつて各年分の算出所得率とみなした(但し、小数点三位以下は切捨て)。
<1> 本件係争各年度において暦年を通じて事業を営む事業者で、年の中途において開廃業、転業等業態の変更のない者であること。
<2> 所得税につき青色申告の承認を受け、青色申告決算書を提出している者であること。
<3> 税務署長から更正又は決定処分を受け、これに対して不服申立てを行うなど、係争中の者でないこと。
(三) 差益率
昭和四七年分 二二・二五パーセント
昭和四八年分 二二・六三パーセント
昭和四九年分 二七・七七パーセント
昭和五〇年分 二五・九七パーセント
前記(二)で抽出した同業者の各差益率を基礎係数として算術平均値、標準偏差、限界値及び平均値を計算したところ、別表6の(1)ないし(3)(昭和四七年分)、同8の(1)ないし(3)(昭和四八年分)、同10の(1)ないし(3)(昭和四九年分)、同12の(1)ないし(3)(昭和五〇年分)の記載のとおりで、この各「平均値」欄の数値をもつて各年分の差益率とみなした(但し、小数点三位以下切捨て)。
(四) 算出所得金額
(1) 昭和四七年分 一六四二万六一四七円
(一)(1)の売上金額に(二)の昭和四七年分の算出所得率を適用して右金額を推計した。
算式 九二三三万三六〇〇円×〇・一七七九=一六四二万六一四七円(円未満切捨て。以下の算式においても同様)
(2) 昭和四八年分 五五七三万九二〇八円
(一)(2)の売上金額に(二)の昭和四八年分の算出所得率を適用して右金額を推計した。
算式 三億二七八七万七六九六円×〇・一七=五五七三万九二〇八円
(3) 昭和四九年分 九五一六万三四二五円
(一)(3)の売上金額に(二)の昭和四九年分の算出所得率を適用して右金額を推計した。
算式 五億〇〇三三万三四六六×〇・一九〇二=九五一六万三四二五円
(4) 昭和五〇年分 一億一六八一万一七二〇円
(一)(4)の売上金額に(二)の昭和五〇年分の算出所得率を適用して右金額を推計した。
算式 六億七三二六万六四〇〇円×〇・一七三五=一億一六八一万一七二〇円
(五) 特別経費
(1) 給料
原告が被告所部係官に申し立てたところによると、昭和四八年中において原告方には四人の事務員がおり、原告はそれぞれに対し月額五万円及び年間賞与として一〇万円を支給したというものであつたから、昭和四八年分の給料については、算式(1)のとおり二八〇万円と算定した。
右給料二八〇万円の昭和四八年分の売上に対する割合(給料率)は算式(2)のとおり〇・八五パーセントであるから、昭和四七年分、同四九年分、同五〇年分については、この給料率を売上金額に乗じて算出される金額を給料の額と推計した。
算式(1) 五万円×一二×四+一〇万円×四=二八〇万円
算式(2) 二八〇万円÷三億二七八七万七六九六円=〇・〇〇八五(小数点第五位以下切捨て)
ア 昭和四七年分 七八万四八三六円
算式(3) 九二三三万三六〇〇円×〇・〇〇八五=七八万円四八三六円
イ 昭和四九年分 四二五万二八三四円
算式(4) 五億〇〇三三万三四六六円×〇・〇〇八五=四二五万二八三四円
ウ 昭和五〇年分 五七二万二七六四円
算式(5) 六億七三二六万六四〇〇円×〇・〇〇八五=五七二万二七六四円
(2) 仲介手数料
原告が被告所部係官に申立てたところによると、不動産物件の販売が行われた場合、当該物件の仕入れ及び売上の担当者にそれぞれ差益金額の一三・五パーセント、一八パーセント、合計三一・五パーセント(支払手数料率)を支払うものであるというので、被告の計算においても、本件係争各年分の差益金額に支払手数料率を乗じて、仲介手数料を算出した。
差益金額は、本件係争各年分の売上金額に前記(三)の平均差益率を乗じて算出した。
ア 昭和四七年分 六四七万一四三一円
算式 九二三三万三六〇〇円×〇・二二二五=二〇五四万四二二六円
二〇五四万四二二六円×〇・三一五=六四七万一四三一円
イ 昭和四八年分 二三三七万二五九七円
算式 三億二七八七万七六九六円×〇・二二六三=七四一九万八七二二円
七四一九万八七二二円×〇・三一五=二三三七万二五九七円
ウ 昭和四九年分 四三七六万六九二〇円
算式 五億〇〇三三万三四六六円×〇・二七七七=一億三八九四万二六〇四円
一億三八九四万二六〇四円×〇・三一五=四三七六万六九二〇円
エ 昭和五〇年分 五五〇七万六八九四円
算式 六億七三二六万六四〇〇円×〇・二五九七=一億七四八四万七二八四円
一億七四八四万七二八四円×〇・三一五=五五〇七万六八九四円
(3) 家賃
原告は埼玉県蕨市中央一丁目一六番五号所在の建物(以下「本件事務所」という。)の賃料として、昭和四七年九月から昭和四八年四月まで、株式会社関越に毎月一六万円支払つた。
ア 昭和四七年分 六四万円
算式 一六万×四=六四万円
イ 昭和四八年分 六四万円
算式 一六万×四=六四万円
(4) 建物減価償却費
原告は、昭和四八年五月二一日本件事務所を敷地とともに代金一六〇〇万円で取得しているところ、本件事務所の価額は原告が被告所部係官に申立てたところによると五〇万円であつたところから、右建物に係る減価償却費を次のとおり算出した。
ア 昭和四八年分 一万二六〇〇円
項目
金額(円)
備考
<1>
取得金額
五〇万
<2>
残存価額
五万
<1>×1/10
<3>
償却の基礎となる価格
四五万
<1>-<2>
<4>
耐用年数
二四年
<5>
償却率
〇・〇四二
定額法による
<6>
算出償却費
一万八九〇〇
<3>×<5>
<7>
使用期間割合
8/12
自昭和四八年五月至同年一二月
<8>
当期償却費
一万二六〇〇
<6>×<7>
イ 昭和四九年分 二万四五七〇円
原告は、昭和四九年一二月本間吉男に原告事務所の改築工事を代金一八〇万円で請負わせているところ、当該工事に係る支出は、資本的支出と認められることから、右一八〇万円に係る減価償却費をも含めて計算した。
項目
五〇万円分金額(円)
一八〇万円分金額(円)
備考
<1>
取得金額
五〇万
一八〇万
<2>
残存価額
五万
一八万
<1>×1/10
<3>
償却の基礎となる価格
四五万
一六二万
<1>-<2>
<4>
耐用年数
二四年
二四年
<5>
償却率
〇・〇四二
〇・〇四二
定額法による
<6>
算出償却費
一万八九〇〇
六万八〇四〇
<3>×<5>
<7>
使用期間割合
12/12
1/12
下段は一二月分のみ
<8>
当期償却費
一万八九〇〇
五六七〇
<6>×<7>合計二万四五七〇円
ウ 昭和五〇年分 八万六九四〇円
項目
五〇万円分金額(円)
一八〇万円分金額(円)
備考
<1>
取得金額
五〇万
一八〇万
<2>
残存価額
五万
一八万
<1>×1/10
<3>
償却の基礎となる価格
四五万
一六二万
<1>-<2>
<4>
耐用年数
二四年
二四年
<5>
償却率
〇・〇四二
〇・〇四二
定額法による
<6>
算出償却費
一万八九〇〇
六万八〇四〇
<3>×<5>
<7>
使用期間割合
12/12
12/12
<8>
当期償却費
一万八九〇〇
六万八〇四〇
<6>×<7>合計八万六九四〇円
(5) 支払利息
ア 昭和四八年分 七三万一一四三円
借入先 埼玉銀行蕨支店
イ 昭和四九年分 一二七万四四八五円
借入先
昭和四九年中の支払利息(円)
埼玉銀行蕨支店
三菱銀行西川口支店
一一六万二〇七五
一一万二四一〇
計
一二七万四四八五
ウ 昭和五〇年分 二二〇万九六一七円
借入先
昭和五〇年中の支払利息(円)
埼玉銀行蕨支店
三菱銀行西川口支店
九八万二八九一
一二二万六七二六
計
二二〇万九六一七
(6) まとめ
以上から、本件係争各年分の特別経費は次のとおりとなる。
昭和四七年分 七八九万六二六七円
昭和四八年分 二七五五万六三四〇円
昭和四九年分 四九三一万八八〇九円
昭和五〇年分 六三〇九万六二一五円
(六) 事業所得
(四)の算出所得金額から(五)の特別経費を差し引いた金額
昭和四七年分 八五二万九八八〇円
昭和四八年分 二八一八万二八六八円
昭和四九年分 四五八四万四六一九円
昭和五〇年分 五三七一万五五〇五円
4 本件係争各年分の無申告加算税及び過少申告加算税の決定処分の根拠
昭和四七年分については、国税通則法六六条に基づいて決定処分による納付すべき所得税額に一〇〇分の一〇の割合を乗じて計算した金額(国税通則法一一八条三項、一一九条四項により本税額につき一〇〇〇円未満の端数切捨て、加算税額について一〇〇円未満の端数切捨て、以下同じ。)に相当する無申告加算税を決定したものであり、昭和四八年分ないし昭和五〇年分については、同法六五条に基づいて更正処分により納付すべき所得税額に一〇〇分の五の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を決定したものである。
5 以上によれば、原告の本件各係争年における所得金額は、3(六)で述べたとおりであるから、同金額の範囲内でなされた本件各課税処分は、適法である。
三 原告
(認否)
1 抗弁1の事実は認める。但し、原告は、長野県で農業をも営んでいる。
2 同2の事実は否認し、その主張は争う。
3 同3(一)の事実はいずれも否認し、同3(二)ないし(六)の主張はいずれも争う。
4 同4及び同5の主張はいずれも争う。
(主張)
1 手続的違法について
(一) 被告は、本件各課税処分をなすに際し、原告に対し調査理由を明示せず、質問検査権を違法に行使した。即ち、被告所部係官新井、同神保は、昭和五〇年九月三〇日ころ事前に通知することなく、原告の不在時に原告方事務所を訪問した。係官らは原告不在にもかかわらず原告方事務所に勤務する従業員に対する調査、事務所内部の書類等の調査を行つた。右従業員に対する調査により、従業員らは原告に対する不信を抱き、退職していき、原告は営業継続の上で回復しがたい打撃を被つた。
係官らは、原告が事務所に戻つた後、原告に対し身分証明書を呈示したものの、具体的調査理由及び調査範囲について何ら告知しなかつた。
(二) 被告は、原告の取引先である王子信用金庫、青木信用金庫、三菱銀行、第一勧業銀行、大生相互銀行等に対して反面調査を行い、このため原告は、右金融機関との取引が続けられなくなり、営業上多大の支障が生ずるに至つた。
(三) 被告は、昭和五二年、蕨市所在の原告所有の土地と建物及び伊奈町所在の原告所有の土地を差押え、同五四年には、南浦和所在の原告所有の土地及び建物を差押えたが、これらの差押えは必要性を越えたものであり、これにより原告の担保能力は著しく減少し、あるいは原告は営業用財産の価値を失い、多大な損害を被つた。
2 本件推計課税の不合理性
被告が本件推計課税の方法として用いている所得率の算出方法は、いわゆるしつ皆調査方式と称されているものであると思われる。しかし、右方式は以下に述べるようにそれ自体問題のある方式であるとともに、殊に本件においては全く原告の営業の実態と異なるものとなつており、かかる方法を用いた不合理な推計課税による本件処分は違法である。
しつ皆調査方式は、実調率方式同様当該納税者との間の個別類似性が考慮されることなく同業者から資料収集されている。従つて、実調率方式と同様の問題点を有する。
実調率方式は、当該納税者との個別類似性には全く考慮を払うことなく、同一地域内における同業者ということだけで調査対象となつている。ところが、同業者中には、営業規模、営業内容、立地条件等が異なるものが含まれており、収入金額、売上原価、経費等の額及び率も当該納税者と類似の者ばかりではなく、これと多大の較差のある業者も含まれている。このため、同業者の所得率の平均値をこの方式で算出してもそれが、直ちに当該事業者の所得率を正しく示すことにはならない。従つて、実調率方式は、仮にこれを用いることが認められるとしても、業種内でこうした営業規模等の相違の少ない業種か、あるいは、対象となつた同業者と当該納税者との間に営業規模等に相当程度の類似性がある場合に限つて用いるべきである。かかる調査方式のもつ問題点及び適用の限界については、しつ皆調査方式も何ら変わるところはない。この点につき、従来から税務当局は、しつ皆調査方式は実調率方式より合理的であるとし、その根拠として<1>実調率方式に比して抽出件数が多いこと、<2>統計的手法を導入して異常値を除外していることをあげている。しかし、<1>についていえば、業務内部に質的相違のある以上、調査対象をいくら増すことによつても、そうして得た平均値と当該納税者の所得率が等しいことにはならない。むしろ白色申告者を除外している点でかえつて実調率方式より問題である。<2>の点についても、異常値を除外する必要があることは当然であるにしても、ただそれのみで足るものではなく、類似性の確保がまずなされなければならず、この点については統計的手法によつて何ら解決されるものではない。
原告は不動産業者であるが、一口に不動産業者といつてもその規模は大から小まで極めて差が大きく、原告のような個人の中小業者の中においても同様である。また、営業の形態からみても建売業、売買業、仲介業、賃貸業等があり、それぞれの業態によつて売上高の規模や経費率に大きな相違がでてくる。原告は売買業を主としていたものであるが、この場合仲介業等に比較して、売上高は多くなりかつ経費率も高くなる。従つて、しつ皆調査方式は本件の場合、殊に妥当性を著しく欠くものといわなければならない。
3 特別経費・広告費用
不動産売買業においては、顧客をいかに獲得するかが最重要であり、不動産はその性質上、物件ごとに性格の異なるものであるので、業者は各物件ごとに広告を頻繁に繰り返して顧客にその内容を知らせ、取引が成立するよう努力することとなる。この費用は物件毎に発生するものであり、所得算定においては特別経費として収入から控除されるべきである。
原告において資料の整つている昭和五八年一月から七月までの間に支出された広告費が合計八一八万六二〇〇円であり、他方この間の原告の収入から仕入代金を差し引いたいわゆる荒利が一二三九万五〇〇〇円であつて、広告費のこれに占める割合は六六パーセントにのぼる。本件係争各年度においても広告費として少なくとも荒利の五〇パーセントは支出されていると推定すべきである。
4 特別損失
(一) 昭和四七年
(1) 原告は、昭和四七年八月ころ高知建設株式会社の仲介により日昇総業株式会社(以下「日昇」という。)から北葛飾郡幸手町大字幸手字浪寄三三〇番地所在の土地付き建物一〇棟を買い受けた。しかし、この代金の支払を遅滞したため、同年一一月三〇日ころ、日昇に対し違約金八〇〇万円を支払つた。
(2) 従業員に対する貸付金のうち回収不能分
一〇件 八四万五〇〇〇円
(二) 昭和四八年
(1) 原告は、昭和四八年一二月七日ころ、吉川修次に対し、与野市大字与野字宮前一七九六番二一所在の土地、建物を代金五四三万円で売り渡す契約を締結した。ところで、右物件は、もと佐野高治の所有であり、これを西本三郎を介して原告が買い受け、吉川修次に譲り渡すことになつていたものであるが、佐野が第三者との間で二重に譲渡の契約を締結してしまつたので、すでに吉川との間で売買契約を締結していた原告は、売主としての義務を履行するためやむなく右第三者と和解をし、同年一二月右第三者に対して金五〇〇万円を支払つて同人から右物件を買い取つた。
(2) 原告は、昭和四八年五月ころ、有限会社長谷川忠建設(又は、長谷川忠)に対し、北足立郡伊奈町大字小針内宿七三五番所在の土地上に建物二棟を建設する工事を代金九八〇万円で請負わせ、同年六月二〇日二二〇万円、同年六月二五日一〇〇万円を支払つたが、資金不足のため約束手形で交付してあつた代金の一部一八〇万円の決済ができず、工事の続行が不可能となり、中途で放置されているうちに、同年秋台風により右未完成建物が倒壊してしまつた。しかし、原告は、工事代金を支払わなくてはならず、さらに昭和四九年一月残代金三〇〇万円を支払つた。
従つて、原告は、建物倒壊により計八〇〇万円の損害を被つた。
(3) 従業員に対する貸付金のうち回収不能分
五件 二六万円
(三) 昭和四九年分
従業員に対する貸付金のうち回収不能分
一三件 一七八万六四五〇円
(四) 昭和五〇年分
(1) 原告は、昭和四九年四月ころ植木芳雄に対し、土地、建物を売り渡したが、同人は右代金のうち二六〇万円を支払わず、原告がこれを請求したところ、同人は、昭和五〇年、同人の経営する有限会社植木製作所振出の約束手形一〇三通額面合計二九七万二六〇〇円を、原告に対し支払に代えて交付した。
ところが、右手形のうち最初に支払期日の到来した手形は昭和五〇年一〇月二五日資金不足により、次に支払期日の到来した手形は同年一一月二五日取引なしの理由によりそれぞれ不渡となつた。植木製作所は事実上倒産し、同社及び実質的には個人会社である同社の所有者というべき植木芳雄には支払能力がなく、右代金二六〇万円はこの時点で回収不能となつた。
(2) 原告は、昭和五〇年、高橋工務店こと高橋正雄から大宮市指扇、佐知川、及び櫛引所在の土地付建物一〇棟を買い受け、これらを販売した。ところが、高橋正雄はこのうち二棟を石川元清に二重譲渡したため、原告は右石川から右二棟について買取りを余儀なくされ、同人に対し同五〇年一一月二〇日六〇〇万円、同年一二月一〇日一〇〇〇万円を支払い、計一六〇〇万円の損害を被つた。
(3) 従業員に対する貸付金のうち回収不能分
三五件 四〇三万円
四 被告
(認否)
原告の主張1、2は争う。同3及び4の事実のうち、4(四)(1)は不知、その余は否認する。
(原告の主張に対する反論及び主張)
1 手続の適法性について
(一) 調査手続の適法性
(1) 税務署長が更正処分等の一定の処分を行うに際し、客観的な必要性があると判断される場合には、調査権限を有する税務職員において調査の一方法として質問検査権を行使することができ、右質問検査権行使の方法、範囲、程度、時期、場所等の実施の細目については実定法上特段の規定もないところ、質問調査の必要があり、かつ、これと相手方の私的利益との衡量において社会通念上相当な限度にとどまるかぎり権限ある税務職員の合理的な判断に委ねられているものと解され、実施の日時、場所の事前通知、調査の理由及び必要性の個別的・具体的な通知のごときも、質問検査を行う上で法律上一律の要件とされているものではない。従つて、被告が税務調査の日時・場所等を原告に対して事前に通知せず、あるいは原告に具体的な調査理由や調査範囲を開示しなかつたとしてもそのこと自体を特に違法とすべき余地はない。
しかも、係官らは、昭和五〇年九月三日原告方事務所に臨場した際、原告に対して調査の範囲につき「昭和四九年分の所得税の調査に来ました。」と告げ、また、調査の理由について「申告された所得金額が正しいかどうか確認するため」と説明しているのであるから、調査理由及び調査範囲の開示をしなかつたとする原告の主張はその前提を欠き失当である。
(2) 係官らの質問調査と従業員らの退職との間に因果関係があるものとは考えられず、そもそも納税者本人の不在中にその従業員に対し質問調査をなすか否かは税務職員の合理的判断に委ねられているところであり、原告の同意なくしてなされた質問調査自体をとらえて違法不当なものということはできない。そして、原告の従業員らについては給与所得に係る所得税の源泉徴収がなされていなかつたため、係官らは、外出中の原告が原告方事務所に戻るまでの間に、その身分を明らかにしたうえで、任意に従業員らの住所、氏名、給料の額、勤務の時間等につき質問したにすぎず、何ら違法な点は存しない。
係官らは、昭和五〇年九月三日原告方事務所に臨場してから、原告が同事務所に戻るまで帳簿書類の提示は一切受けず、案内された応接場所で原告を待ち受けたものである。
(二) 原告主張1(二)に対して
係官らは、本件調査において原告の協力が得られなかつたので、やむなく原告の取引銀行等に対していわゆる反面調査を行つたものであり、その内容は、単に原告の取引代金等を把握するためのものであつて、もとより適法な質問検査権の行使にすぎない。
(三) 原告主張1(三)に対して
本件は、課税処分の取消しを求める訴訟であつて、課税要件事実の存否を争点としているものである。本件各課税処分の後になされた滞納処分は、本件争点には直接関係のない事実であつて、本件各課税処分の違法事由とはならず、本訴において主張すること自体失当である。
2 本件推計課税の合理性について
被告の抗弁3(二)及び(三)に述べたとおりの方法で抽出した同業者の所得率及び差益率を基礎係数として統計学上一般に認められている方式を用いて別表5ないし12各記載の平均値を算定し、これを本件係争各年分の算出所得率及び差益率としたものである。
3 原告の特別経費(広告費)の主張に対して
事業所得の金額は、総収入金額から必要経費を控除して求められるが、推計により売上金額を基に同業者率により事業所得の金額を算出する場合には、通常、必要経費を売上原価、一般経費及び特別経費に区分し、特別経費を除いた売上原価及び一般経費についてのみ同業者率を用いて算出することとしている。これは、売上原価及び一般経費については、業種を同じくする者の間においては概ね売上金額(収入)に比例するものとされており、したがつて、同業者率により推計することが合理的であるのに対し、特別経費については、同業者間においてもその業態により大きな差が生ずることが少なくないので、必ずしも同業者率による推計になじまないものであるからである。そして、通常雇人費、外注工賃、減価償却費、貸倒金、地代家賃、利子割引料が特別経費に当たるものとされ、その他の経費が一般経費に当たるものとされており、広告費が右にいう一般経費に含まれることは明らかである。
本件においても、右に述べた推計方法によつており、一般経費の額は、青色申告決算書の「経費合計」から特別経費である給料賃金、不動産仲介支払手数料(歩合給に類するものを含む。)、借入金利子割引料、建物減価償却費、地代家賃、貸倒金、廃棄損失(その他費目が相違してもこれらと内容が同どものを含む。)を控除した金額とされているから、広告宣伝費が右一般経費に計上されていることが明らかである。
したがつて、特別経費を控除する前の算出所得金額(被告の抗弁3(四))は、推計により広告費を控除した後の金額であるから、右算出所得金額から更に広告費を控除する余地はない。
以上に述べたとおりで、原告の主張は、その前提において失当であることが明らかである。
4 原告の特別損失の主張に対して
(一) 従業員に対する貸倒損失について
貸付金の回収不能分すなわち貸倒金を係争年分の必要経費として計上する(所得税法五一条二項)ためには、当該年中に、債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、債務者の資産状況、支払能力等からみて貸付金の弁済を受けることができないと認められる場合において、債務者に対し債務免除(債権放棄)した場合、あるいは、債務者の事業閉鎖、行方不明、刑の執行等により、債務者の資産状況、支払能力等からみて債権の回収不能が明らかになつた場合であることを要するものであるところ、原告は右貸倒れの事由及びその時期について主張していない。
したがつて、仮に、原告の従業員に対する貸付金に未回収のものがあつたとしても、当該未回収分を本件係争各年中に必要経費として控除することはできない。
第三証拠 <略>
理由
一 請求原因1ないし4及び抗弁1の事実については、当事者間に争いがない。
二 原告は、本件各課税処分の根拠たる所得税法及び本件各課税処分は、憲法一一条、一三条、一四条、二五条、二九条に違反し、無効である旨主張するので、検討する。
まず、原告は、本件各課税処分が原告の従前の損失を考慮していないと主張するが、右主張は極めて具体性を欠き、原告が主張する従前の損失なるものがいつどのように発生したいかなる損失であるかについてはなんら主張立証がない。
また、原告は、本件各課税処分の根拠たる所得税法が原告指摘の憲法各条に違反する旨主張するが、右主張は独自の見解であつて採用し難い。
なお、原告は、本件各課税処分が違憲である理由として、本件各課税処分が過大である旨主張しているが、後に説示するとおり、本件各課税処分については、推計の必要性及び合理性を肯認することができるのであつて、過大であるとはいえないから、原告の右主張も採用し難い。
三 原告は、本件課税処分の手続的違法を理由に本件課税処分の取消を求めるので、この点について検討する。
1 原告が主張する本件各課税処分の手続的違法は、被告が原告に対し調査理由を明示せずに質問調査権を行使し、反面調査をしたという点にある。
しかし、国税通則法二四条、所得税法二三四条一項には、税務署職員が更正等の処分を行うに際し、税務調査としての質問調査をなしうる旨規定されているところ、右質問検査の範囲、程度、時期、場所、方法等の実施の細目については実定法上特段の定めがいるわけではないのであるから、質問検査の必要があり、社会通念上相当と認められる範囲内である限り、その実施方法については税務職員の合理的な選択に委ねられていると解するのが相当である。そうすると、調査の個別具体的な理由を被調査者に開示しなかつたり、あるいは、その同意なしにその取引先、銀行等に対していわゆる反面調査が実施されたとしても、それらが社会通念上相当な理由に基づいて実施されている限り、直ちに違法な調査となるものではないといわなければならない。
2 これを本件についてみると、<証拠略>を総合すれば、以下の事実が認められ、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。
国税調査官の新井一弘は、原告が昭和四七年五月に不動産業者として登録し、同年九月頃からその営業を開始したものであるのに、昭和四七年分の所得税につき確定申告をしておらず、昭和四八年分及び昭和四九年分の確定申告においては、確定申告書に所得金額を記載するのみで、その金額の計算の基礎となる収入金額、必要経費の記入をしていなかつたこと、原告が株式会社関越から、昭和四八年五月二一日にその営業用事務所として本件事務所を買い受け、従業員を多く雇つていることから判断される事業規模と対比して、申告所得金額が過少と思われたこと、それまで原告を一度も調査の対象としたことがなかつたことから、同じく調査官の神保温と共に原告の所得金額について調査をした。
右調査官新井と調査官神保は、昭和五〇年九月三日ごろ、原告の本件事務所に臨み、原告に対し、所得税の調査の協力を依頼したところ、原告は不動産取引台帳と売買契約書を示したが、右不動産取引台帳には、昭和四七年分のものが含まれておらず、昭和四八年としては、仕入れ分が一七件、売上分が一二件、昭和四九年としては、売上分が六件記載されているだけで、売買契約書は、昭和四七年分は売上分が五件、昭和四八年分のものは存在せず、昭和四九年は仕入れ分が二〇件、売上分が一六件あるのみで、不動産取引台帳に記載された取引の売買契約書が存在しない場合などがあつたが、原告は、他に取り引きがあるか否かについて回答せず、右以外の帳簿等は一切なく、また、事務所における調査には応じられないと述べた。原告は、同月八日西川口税務署に来庁したが、その際持参した小口現金出納帳には、昭和四九年三月から昭和五〇年一月までの光熱費、通信費、接待交際費という科目と金額が、支払帳には、昭和四九年一二月から昭和五〇年八月ころまでの車両費や事務用品等の科目と金額が記帳されていたが、いずれも現金残高の記載がなく、正規の簿記の原則に従つたものとはいえないもので、正確な所得金額を算出するための必要経費の把握は不可能なものであつたところ、原告は、右以外に書類はなく、領収書もないとし、後の税務署における調査(全八回)においても帳簿等を持参せず、係官に対し調査に対する不満や調査に関係のないことを述べるだけで、調査には非協力であつた。他方、右調査官新井と同神保は、本人調査以外に、市役所、県庁、原告の取引銀行である埼玉銀行蕨支店、同銀行幸手支店、王子信用金庫蕨支店、第一勧業銀行蕨支店、大生相互銀行蕨支店、同銀行浦和支店、不動産の購入者などに対して、原告との取引の有無とその額等を調査した。
右事実によれば、本件調査は、原告が昭和四七年分の所得については無申告であり、また原告の昭和四八年及び同四九年分の申告所得については過少であることを疑うに足りる相当な理由があつたため開始されたものであること、税務署における八回の面接調査において、原告は売上及び必要経費を把握するに足りる帳簿書類及び原始記録を提示せず、調査に協力しなかつたため、取引先及び銀行等の反面調査の必要があつたことが明らかであつて、仮に調査官らが原告に対し、調査の個別具体的な理由を開示せず、反面調査の実施につき原告の同意を得なかつたとしても、被告が原告の取引先や銀行等に対する調査を実施したことは、社会通念上相当な理由に基づくものというべきてあつて、この点に関する原告の主張は理由がない。
3 また、本件課税処分後にされた滞納処分としての差押えは、本件課税処分の違法事由となるものではないから、この点の原告の主張1(三)は理由がない。
四 推計の必要性
前記三の事実からすると、原告の本件各係争年分の所得額の算定については、収支実額の計算をするに必要な帳簿書類がごく一部分しか見当たらないうえ、国税調査官の行なう調査についても原告の応答協力が得られないため、その所得金額を実額で把握することが不可能な状況にあつたことは明らかである。
従つて、被告が原告の本件各係争年分の所得金額を推計により認定したことには、何らの違法はないものというべきである。
五 推計の合理性
1 売上金額
(一) 昭和四七年分
<証拠略>によれば、別表1順号1欄の、<証拠略>によれば、別表1順号2欄の、<証拠略>によれば、別表1順号3欄の、<証拠略>によれば、別表1順号4欄の、<証拠略>によれば、別表1順号5欄の、<証拠略>によれば、別表1順号7欄の、<証拠略>によれば、別表1順号8欄の、<証拠略>によれば、別表1順号9欄の、<証拠略>によれば、別表1順号10欄の、<証拠略>によれば、別表1順号11欄の、<証拠略>によれば、別表1順号12欄の、<証拠略>によれば、別表1順号13欄の、<証拠略>によれば、別表1順号14欄の、<証拠略>によれば、別表1順号15欄の、<証拠略>によれば、別表1順号16欄の、<証拠略>によれば、別表1順号17欄及び18欄の、<証拠略>によれば、別表1順号19欄の、<証拠略>によれば、別表1順号20欄の、<証拠略>によれば、別表1順号21欄の、<証拠略>によれば、別表1順号22欄の、<証拠略>によれば、別表1順号23欄の、<証拠略>によれば、別表1順号24欄の、<証拠略>によれば、別表1順号25欄の、<証拠略>によれば、別表1順号26欄の、<証拠略>によれば、別表1順号27欄の、<証拠略>によれば、別表1順号28欄の、<証拠略>によれば、別表1順号29欄の各売上(土地建物の売却のほか、仲介料、ローン手数料、工事代金等を含む。以下同じ)を認めることができ、右認定を左右するに足りる証拠はない。
以上認定したところによれば、原告の昭和四七年分の売上金額は別表1のとおり、合計九二三三万三六〇〇円と認められる。
(二) 昭和四八年分
(1) <証拠略>によれば、別表2順号1欄の、<証拠略>によれば、別表1順号2欄の、<証拠略>によれば、別表2順号3欄の、<証拠略>によれば、別表2順号4欄の、<証拠略>によれば、別表2順号5欄の、<証拠略>によれば、別表2順号6欄の、<証拠略>によれば、別表2順号7欄の、<証拠略>によれば、別表2順号8欄の、<証拠略>によれば、別表2順号9欄の、<証拠略>によれば、別表2順号10欄の、<証拠略>によれば、別表2順号11欄の、<証拠略>によれば、別表2順号12欄の、<証拠略>によれば、別表2順号13欄の、<証拠略>によれば、別表2順号14欄の、<証拠略>によれば、別表2順号15欄の、<証拠略>によれば、別表2順号16欄の、<証拠略>によれば、別表2順号17欄の、<証拠略>によれば、別表2順号18欄の、<証拠略>によれば、別表2順号19欄の、<証拠略>によれば、別表2順号20欄の、<証拠略>によれば、別表2順号21欄の、<証拠略>によれば、別表2順号22欄の、<証拠略>によれば、別表2順号23欄の、<証拠略>によれば、別表2順号24欄の、<証拠略>によれば、別表2順号25欄の、<証拠略>によれば、別表2順号26欄の、<証拠略>によれば、別表2順号27欄及び28欄の、<証拠略>によれば、別表2順号29欄の、<証拠略>によれば、別表2順号30欄の、<証拠略>によれば、別表2順号32欄の、<証拠略>によれば、別表2順号34欄の、<証拠略>によれば、別表2順号35欄の、<証拠略>によれば、別表2順号36欄の、<証拠略>によれば、別表2順号37欄の、<証拠略>によれば、別表2順号38欄の、<証拠略>によれば、別表2順号39欄の、<証拠略>によれば、別表2順号40欄の、<証拠略>によれば、別表2順号41欄の、<証拠略>によれば、別表2順号42欄の、<証拠略>によれば、別表2順号43欄の、<証拠略>によれば、別表2順号45欄の、<証拠略>によれば、別表2順号46欄の、<証拠略>によれば、別表2順号47欄の、<証拠略>によれば、別表2順号48欄の、<証拠略>によれば、別表2順号49欄の、<証拠略>によれば、別表2順号50欄の、<証拠略>によれば、別表2順号51欄の、<証拠略>によれば、別表2順号52欄の、<証拠略>によれば、別表2順号53欄の、<証拠略>によれば、別表2順号54欄の、<証拠略>によれば、別表2順号57欄の、<証拠略>によれば、別表2順号59欄の、<証拠略>によれば、別表2順号60欄の、<証拠略>によれば、別表2順号61欄の、<証拠略>によれば、別表2順号62欄の、<証拠略>によれば、別表2順号63欄の、<証拠略>によれば、別表2順号64欄の、<証拠略>によれば、別表2順号65欄の、<証拠略>によれば、別表2順号66欄の、<証拠略>によれば、別表2順号67欄の、<証拠略>によれば、別表2順号68欄の、<証拠略>によれば、別表2順号69欄の、<証拠略>によれば、別表2順号70欄の、<証拠略>によれば、別表2順号71欄の、<証拠略>によれば、別表2順号72欄の、<証拠略>によれば、別表2順号73欄の、<証拠略>によれば、別表2順号74欄の、<証拠略>によれば、別表2順号75欄の、<証拠略>によれば、別表2順号76欄の、<証拠略>によれば、別表2順号77欄の、<証拠略>によれば、別表2順号78欄の、<証拠略>によれば、別表2順号79欄の、<証拠略>によれば、別表2順号80欄の、<証拠略>によれば、別表2順号81欄の各売上を認めることができ、この認定を左右するに足りる証拠はない。
(2) <証拠略>によれば、別表2順号58欄の売上を認めることができる。<証拠略>によれば、登記簿上は右売上にかかる土地についての、桜井和夫に対する所有権移転登記手続は原告を譲渡人としてなされているものではないが、登記手続きは常に必ずしも実体関係を正確に反映しているものとは限らず、いわゆる中間省略登記の行なわれることもしばしばあるのであるから、右事実のみをもつて、原告と桜井和夫との間の売買契約を否定し得るものではなく、前記のとおり原告は建売業並びに土地建物の売買及び仲介業を営むものであつて、<証拠略>によれば、原告は他の売買契約においても、いわゆる中間省略の形で移転登記手続を行い、あるいは、直接買主が建物の保存登記をする等の方法により登記簿上は譲渡人とならない形式を採つていたものと認められるから、<証拠略>の記載は、右売上認定の妨げとなるものではなく、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。
以上認定したところによれば、原告の昭和四八年分の売上金額は別表2のとおり、合計三億二七八七万七六九六円と認められる。
(三) 昭和四九年分
<証拠略>によれば、別表3順号1欄の、<証拠略>によれば、別表3順号2欄の、<証拠略>によれば、別表3順号3欄の、<証拠略>によれば、別表3順号4欄の、<証拠略>によれば、別表3順号5欄の、<証拠略>によれば、別表3順号6欄の、<証拠略>によれば、別表3順号7欄の、<証拠略>によれば、別表3順号8欄の、<証拠略>によれば、別表3順号9欄の、<証拠略>によれば、別表3順号10欄の、<証拠略>によれば、別表3順号11欄の、<証拠略>によれば、別表3順号12欄の、<証拠略>によれば、別表3順号13欄の、<証拠略>によれば、別表3順号14欄の、<証拠略>によれば、別表3順号15欄の、<証拠略>によれば、別表3順号16欄の、<証拠略>によれば、別表3順号17欄の、<証拠略>によれば、別表3順号18欄の、<証拠略>によれば、別表3順号19欄の、<証拠略>によれば、別表3順号20欄の、<証拠略>によれば、別表3順号21欄の、<証拠略>によれば、別表3順号22欄の、<証拠略>によれば、別表3順号23欄の、<証拠略>によれば、別表3順号24欄の、<証拠略>によれば、別表3順号25欄の、<証拠略>によれば、別表3順号26欄の、<証拠略>によれば、別表3順号27欄の、<証拠略>によれば、別表3順号28欄の、<証拠略>によれば、別表3順号29欄の、<証拠略>によれば、別表3順号30欄の、<証拠略>によれば、別表3順号31欄の、<証拠略>によれば、別表3順号32欄の、<証拠略>によれば、別表3順号33欄の、<証拠略>によれば、別表3順号35欄の、<証拠略>によれば、別表3順号36欄の、<証拠略>によれば、別表3順号37欄の、<証拠略>によれば、別表3順号38欄の、<証拠略>によれば、別表3順号39欄の、<証拠略>によれば、別表3順号40欄の、<証拠略>によれば、別表3順号41欄の、<証拠略>によれば、別表3順号42欄の、<証拠略>によれば、別表3順号43欄の、<証拠略>によれば、別表3順号44欄の、<証拠略>によれば、別表3順号45欄の、<証拠略>によれば、別表3順号46欄の、<証拠略>によれば、別表3順号47欄の、<証拠略>によれば、別表3順号48欄の、<証拠略>によれば、別表3順号49欄の、<証拠略>によれば、別表3順号50欄の、<証拠略>によれば、別表3順号51欄の、<証拠略>によれば、別表3順号52欄の、<証拠略>によれば、別表3順号53欄の、<証拠略>によれば、別表3順号54欄の、<証拠略>によれば、別表3順号55欄の、<証拠略>によれば、別表3順号56欄の、<証拠略>によれば、別表3順号57欄の、<証拠略>によれば、別表3順号58欄の、<証拠略>によれば、別表3順号59欄の、<証拠略>によれば、別表3順号60欄の、<証拠略>によれば、別表3順号61欄の、<証拠略>によれば、別表3順号62欄の、<証拠略>によれば、別表3順号63欄の、<証拠略>によれば、別表3順号64欄の、<証拠略>によれば、別表3順号65欄の、<証拠略>によれば、別表3順号66欄の、<証拠略>によれば、別表3順号67欄の、<証拠略>によれば、別表3順号68欄の、<証拠略>によれば、別表3順号69欄の、<証拠略>によれば、別表3順号70欄の、<証拠略>によれば、別表3順号71欄の、<証拠略>によれば、別表3順号72欄の、<証拠略>によれば、別表3順号73欄の、<証拠略>によれば、別表3順号74欄の各売上を認めることができ、この認定を左右するに足りる証拠はない。
以上認定したところによれば、原告の昭和四九年分の売上金額は別表3のとおり、合計五億〇〇三三万三四六六円と認められる。
(四) 昭和五〇年分
(1) <証拠略>によれば、別表4順号1欄の、<証拠略>によれば、別表4順号2欄の、<証拠略>によれば、別表4順号4欄の、<証拠略>によれば、別表4順号5欄の、<証拠略>によれば、別表4順号6欄の、<証拠略>によれば、別表4順号7欄の、<証拠略>によれば、別表4順号8欄の、<証拠略>によれば、別表4順号9欄の、<証拠略>によれば、別表4順号10欄の、<証拠略>によれば、別表4順号11欄の、<証拠略>によれば、別表4順号12欄の、<証拠略>によれば、別表4順号13欄の、<証拠略>によれば、別表4順号14欄の、<証拠略>によれば、別表4順号15欄の、<証拠略>によれば、別表4順号16欄の、<証拠略>によれば、別表4順号17欄の、<証拠略>によれば、別表4順号18欄の、<証拠略>によれば、別表4順号19欄の、<証拠略>によれば、別表4順号20欄の、<証拠略>によれば、別表4順号22欄の、<証拠略>によれば、別表4順号23欄の、<証拠略>によれば、別表4順号24欄の、<証拠略>によれば、別表4順号25欄の、<証拠略>によれば、別表4順号26欄の、<証拠略>によれば、別表4順号27欄の、<証拠略>によれば、別表4順号28欄の、<証拠略>によれば、別表4順号29欄の、<証拠略>によれば、別表4順号30欄の、<証拠略>によれば、別表4順号31欄の、<証拠略>によれば、別表4順号32欄の、<証拠略>によれば、別表4順号33欄の、<証拠略>によれば、別表4順号34欄の、<証拠略>によれば、別表4順号35欄の、<証拠略>によれば、別表4順号36欄の、<証拠略>によれば、別表4順号37欄の、<証拠略>によれば、別表4順号38欄の、<証拠略>によれば、別表4順号39欄の、<証拠略>によれば、別表4順号40欄の、<証拠略>によれば、別表4順号41欄の、<証拠略>によれば、別表4順号42欄の、<証拠略>によれば、別表4順号44欄の、<証拠略>によれば、別表4順号45欄の、<証拠略>によれば、別表4順号46欄の、<証拠略>によれば、別表4順号47欄の、<証拠略>によれば、別表4順号48欄の、<証拠略>によれば、別表4順号49欄の、<証拠略>によれば、別表4順号50欄の、<証拠略>によれば、別表4順号51欄の、<証拠略>によれば、別表4順号52欄の、<証拠略>によれば、別表4順号53欄の、<証拠略>によれば、別表4順号54欄の、<証拠略>によれば、別表4順号55欄の、<証拠略>によれば、別表4順号56欄の、<証拠略>によれば、別表4順号57欄の、<証拠略>によれば、別表4順号58欄の、<証拠略>によれば、別表4順号59欄の、<証拠略>によれば、別表4順号60欄の、<証拠略>によれば、別表4順号61欄の、<証拠略>によれば、別表4順号62欄の、<証拠略>によれば、別表4順号63欄の、<証拠略>によれば、別表4順号64欄の、<証拠略>によれば、別表4順号65欄の、<証拠略>によれば、別表4順号66欄の、<証拠略>によれば、別表4順号67欄の、<証拠略>によれば、別表4順号68欄の、<証拠略>によれば、別表4順号69欄の、<証拠略>によれば、別表4順号70欄の、<証拠略>によれば、別表4順号71欄の各売上を認めることができ、この認定を左右するに足りる証拠はない。
(2) 別表4順号21欄の売上について
<証拠略>は被告主張の売上をうかがわせる土地付建物売買契約書と題する書面であり、原告本人尋問の結果によれば、右契約書の売主欄の印影は原告がその事務所において使用していた印鑑により顕出されたものと認めることができるが、その売主欄には酒井建設株式会社と記入されていることに徴すると、同号証をもつて原告個人の売買契約がなされたものと認めるには足りないから、これらの証拠によつて原告個人の収入として売上を認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。
(3) <証拠略>によれば、別表4順号43欄の売上を認めることができる。
<証拠略>によれば、右売上に係る土地は売上先である森川好造に対し、渋谷又市から所有権移転登記手続登記手続がなされていることが認められ、原告が譲渡人として、登記手続がなされたものではないが、これは前記(二)(2)において述べたのと同様の理由で、売上認定の妨げとなるものではない。
また、証人鈴木豊及び原告本人は、右売上に係る売買契約は、その対象たる土地を、原告が渋谷又市から買い受けて土地上に建物を建て(別表4順号42欄の売上にかかる建物)、森川好造に対し、転売したものであつたところ、原告が渋谷又市に対し、土地の売買代金を支払えなかつたため、土地についての売買契約は両方とも解約となり、土地は渋谷又市が直接森川好造に売り渡したものである旨供述するが、原告本人の供述は曖昧で変遷しており、それ自体信用できるものではなく、また証人鈴木豊は同人自身右売上にかかる売買の担当者ではなかつたことがその証言によつて認められるうえ、右解約を裏付ける具体的な事実を説明することもできないものであることに照らして、同人の証言も採用することはできない。そして、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。
以上認定したところによれば、原告の昭和五〇年分の売上金額は、別表4のうち、順号21を除いた売上金額の合計六億六〇二六万六四〇〇円と認められる。
2 算出所得率及び差益率
(一) <証拠略>によれば、次の事実が認められ、この認定を左右するに足りる証拠はない。
被告は、原告に対する本件係争各年分の課税のために、原告の住所地を管轄していた西川口税務署とこれに隣接する川口税務署および浦和税務署管内における青色申告納税者から、本件係争各年において、原告と同種の建売及び土地売買を継続して営んでいる個人事業所得者で、税務署長と係争中の者でない者(以下「本件同業者」という。)をすべて抽出したこと、本件同業者の売上金額及び算出所得金額は、別表5、7、9及び11記載のとおりであり、被告は、本件同業者の平均所得率を、別表5、7、9及び11記載の計算(算術平均、標準偏差、限界値及び平均値)により、昭和四七年一七・七九パーセント(少数点第三位以下切捨て。以下同様)、昭和四八年一七・〇〇パーセント、昭和四九年一九・〇二パーセント、昭和五〇年一七・三五パーセントとしたこと、本件同業者の平均差益率を別表6、7、8及び10記載(編注・「別表6、8、10及び12記載」の誤りか)の計算(算術平均、標準偏差、限界値及び平均値)により、昭和四七年二二・二五パーセント(少数点第三位以下切捨て。以下同様)、昭和四八年二二・六三パーセント、昭和四九年二七・七七パーセント、昭和五〇年二五・九七パーセントとしたこと。
(二) 右認定事実によれば、被告が抽出した本件同業者は、いずれも青色申告者であつて、その申告の基礎となつた資料の正確性については、一般にこれを是認して妨げないから、本件同業者の平均所得率及び平均差益率の内容は、信用性が高いものということができる。
また、本件同業者は、原告と同一の地域及びこれに隣接する地域内において、同種の建売及び土地売買を営む者であるから、被告の採用した推計方法は、原告との個別類似性を捨象したものではあるが、平均所得率及び平均差益率(以下、本件算出所得率という。)を算出するにおいて、算術平均値から標準偏差を求め、限界値を標準偏差の一・五倍として、異常値を除いたものであり、憲法上納税は国民の義務であつて、所得税法が実額課税の方法によることができない場合に推計課税を行い得るとしていることに鑑みれば、平均所得率のある程度の抽象性は、平均所得率を原告の所得率とみなす妨げとはならず、本件算出所得率等を用いて原告の所得額を推計することは合理的な方法であるということができる。
これに対して原告は、被告の推計方法は営業規模、営業内容、立地条件を考慮しないものであるとして、その一般的な違法性を問題とし、また、原告はこれが適用されるべき場合にあたらず、原告の営業実態とも異なると主張する。
しかし、本件においては、本件算出所得率等の合理性が問題なのであるから、被告の推計方法の使用を一般的に違法視することは誤りであり、立地条件、営業規模の相違については、原告がその特殊性を主張立証していない以上、これを理由として、本件算出所得率等の適用を違法ということはできず、また、本件同業者の売上金額と算出所得率をみると、事業規模の大小と所得率との間には、相関関係は認められず、事業規模の類似性はこれを考慮することが原告の業種において直ちに原告の所得率の近似値を求めるのに有効であるかは疑問である。
また、<証拠略>によれば、原告は、不動産の売買、建売及び仲介業を営むものと認められ、被告が、不動産の売買業、建売業、仲介業を区別せずに本件同業者を抽出したことを違法ということはできない。
3 算出所得金額
(一) 前記1の原告の本件係争各年分の売上金額に、前記2の各年の平均所得率をそれぞれ適用して原告の同年分の所得金額を求めると、被告の主張する算式のとおり、昭和四七年分は、一六四二万六一四七円、昭和四八年分は、五五七三万九二〇八円、昭和四九年分は、九五一六万三四二五円となり、昭和五〇年分については、次の算式のとおり、一億一四五五万六二二〇円となる。
算式 六億六〇二六万六四〇〇円×一七・三五パーセント=一億一四五五万六二二〇円(円未満切捨て)
4 特別経費
(一) 給料
(1) <証拠略>によれば、昭和四八年中においては、原告の事業所には四人の事務員がおり、原告はそれぞれに対し、月額五万円及び年間賞与として一〇万円を支給したことが認められ、この認定を左右するに足りる証拠はなく、右認定の事実によれば、原告の昭和四八年分の給与額は、被告主張の算式のとおり二八〇万円となる。
(2) 右給与額二八〇万円の昭和四八年分の売上に対する割合は、被告主張の算式のとおり、〇・八五パーセントとなり、被告は、これを基礎として昭和四七年分、昭和四九年分、昭和五〇年分の給料額を推計しているところ、本件係争各年において、売上金額に対する給与の割合に変化のあつたことの認められない本件においては、給与率を同程度とみることは相当であるから、被告の右推計は合理的である。
右推計によれば、原告の給与額は、次の算式のとおり、昭和四七年分は七八万四八三五円、昭和四九年分は四二五万二八三四円、昭和五〇年分は五六一万二二六四円である。
算式 九二三三万三六〇〇円×〇・〇〇八五=七八万四八三五円(円未満切捨て。以下同様)
算式 五億〇〇三三万三四六六円×〇・〇〇八五=四二五万二八三四円
算式 六億六〇二六万六四〇〇円×〇・〇〇八五パーセント=五六一万二二六四円
(二) 仲介手数料
<証拠略>によれば、次の事実を認めることができ、この認定を左右するに足りる証拠はない。
原告は、被告の面接調査において、不動産物件の販売が行なわれた場合、原告は当該物件の仕入れ及び販売担当者に手数料を支払うものであること及びその計算方法を説明したこと、手数料は、原告の説明に基づく計算によれば、売上担当者に対しては、荒利の一二パーセント、仕入れ担当者に対しては荒利の一〇・四パーセントであつたこと、原告が、売上担当者に対する手数料の中には、一二パーセントより高い率のものもあつたと説明したこと、被告は、原告の右説明に基づいて、売上担当者に対する手数料について、差益金額の一三・五パーセント、仕入れ担当者に対する手数料について、差益金額の一八パーセント、合計三一・五パーセントとして推計したこと。
右認定事実によれば、被告の右推計は、原告の説明に基づいて原告に有利に推計したものであるから、右推計による金額を特別経費とみることは合理的である。
右推計によれば、手数料は、被告主張の算式のとおり、昭和四七年分は六四七万一四三一円、昭和四八年分は二三三七万二五九七円、昭和四九年分は四三七六万六九二〇円であつて、昭和五〇年分は次の算式のとおり五四〇一万三四二二円である。
算式 六億六〇二六万六四〇〇×〇・二五九七=一億七一四七万一一八四円(円未満切捨て。以下同様)
一億七一四七万一一八四円×〇・三一五=五四〇一万三四二二円
(三) 家賃
<証拠略>によれば、原告は株式会社関越に対し、本件事務所の賃料として、昭和四七年九月から昭和四八年四月まで、毎月一六万円支払つていたことが認められ、この認定を左右するに足りる証拠はない。
右認定の事実によれば、原告は、被告主張の算式のとおり、昭和四七、四八年分の家賃としてそれぞれ六四万円を支出したものといえる。
(四) 建物減価償却費
前記三2の認定事実、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認められるから真正な公文書と推定すべき<証拠略>によれば、原告は、株式会社関越から、昭和四八年五月二一日に、その営業用事務所として、本件事務所を代金五〇万円、その敷地とともに、合計一六〇〇万円で買い受けたものであること、及び原告は、昭和四九年一二月に、本件事務所の改築工事を一八〇万円で行つていることが認められ、証人新井一弘の証言中右認定に抵触する部分は右各証拠に照らして採用することができず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。
昭和四八年分(八月分)の本件事務所の減価償却費を残存価額一割、耐用年数二四年として、定額法により計算すると、被告主張の算式のとおり、一万二六〇〇円となる。
昭和四九年分の本件事務所の減価償却費を、取得価額については昭和四八年度と同様に、改築工事分(一月分)を残存価額一割、耐用年数二四年として、定額法により計算すると、被告主張の算式のとおり、二万四五七〇円となる。
昭和五〇年分の本件事務所の減価償却費を、昭和四九年度と同様に計算すると、八万六九四〇円となる。
(五) 支払利息
<証拠略>によれば、原告の支出した支払利息は、昭和四八年分が、埼玉銀行蕨支店に対し七三万一一四三円、昭和四九年分が、埼玉銀行蕨支店に対し、一一六万二〇七五円、三菱銀行西川口支店に対し一一万二四一〇円、計一二七万四四八五円、昭和五〇年分が、埼玉銀行蕨支店に対し九八万二八九一円、三菱銀行西川口支店に対し一二二万六七二六円、計二二〇万九六一七円であつたことが認められ、この認定を左右するに足りる証拠はない。
(六) 広告費用について
原告は、広告費用についても、特別経費として売上金額から控除すべきである旨主張するが、広告費は通常の営業活動において発生する一般経費であつて、所得率によつて所得金額を計算する際においては、売上金額からすでに控除されているものであるから、更にこれを算出所得金額から控除すべき特別経費とすることはできない。
(七) 特別経費合計
以上の特別経費を各係争年別に合計すると次のとおりとなる。
昭和四七年分 七八九万六二六七円
昭和四八年分 二七五五万六三四〇円
昭和四九年分 四九三一万八八〇九円
昭和五〇年分 六一九二万二二四三円
5 特別損失について
(一) 原告は、従業員に対する貸付の貸倒損失を必要経費として控除すべきである旨主張する。しかし、貸倒損失を必要経費として控除するためには、所得税法五一条二項所定の要件を充足する事実を必要とするところ、原告は、単に本件係争各年における回収不能を主張するのみで、回収不能となつた具体的事情についてなんら主張立証しない。従つて、本件係争各年分における原告の所得金額を算定するにあたつて、原告の主張する貸倒損失を原告の収入金額から控除することはできない。
(二) 原告の主張4(一)(1)(日昇に対する違約金の支払)について
右主張に副う証拠として<証拠略>の領収書控え、並びに<証拠略>がある。しかし、原告は、右領収書控えの作成及びその入手経路を明らかにすることもできないことに照らすと、<証拠略>をもつて右主張の裏付とするには足りず、<証拠略>もたやすく措信し難い。また、<証拠略>によれば、黒沢は昭和四七年から昭和四九年秋まで、原告に雇われていたものではあるが、仕入れは担当していなかつたものであり、同人の証言内容は原告の右主張にかかる事実と原告の4(二)(2)の主張にかかる事実の区別も曖昧で、具体性を欠くものであつて、到底原告の右主張事実を認むべき証拠とすることはできず、他に原告の右主張事実を認めるに足りる証拠はない。
(三) 原告の主張4(二)(1)(和解金の支払)について
<証拠略>はそれ自体曖昧で、原告の右主張を認めるに足りず、また、原告の提出する<証拠略>はいずれも佐野高治から吉川修次への所有権移転登記の記載ある不動産の登記簿謄本であるが、原告の主張する第三者に対する和解金の支払を推認し得るものではなく、他に右事実を認めるに足りる証拠はない。
(四) 原告の主張4(二)(2)(建物倒壊による損害)について
<証拠略>中右主張に副う趣旨の供述部分はそれ自体曖昧で変遷しており、原告主張の損害及び損害額を認めるに足りるものではない。<証拠略>も原告主張の支出を認めるに足りるものではなく、<証拠略>はその成立を認めるに足りる証拠がない。また、<証拠略>は、前記(二)と同様の理由で採用することができず、他に原告の右主張事実を認めるに足りる証拠はない。
(五) 原告の主張4(四)(1)(植木芳雄に対する貸倒損失)について
前記認定のとおり、原告は植木芳雄に対し、別表3順号65欄の売上をなし、右売上にかかる代金債権を取得したといえるところ、<証拠略>によれば、右植木は原告に対し、昭和五三年から昭和五五年までの間二二回にわたり各四万一〇五三円ずつ支払つていることが認められるから、昭和五〇年において、原告の植木に対する債権につき貸倒損失を計上することはできない。
(六) 原告の主張4(四)(2)(石川元清に対する支払)について
原告は、高橋正雄から買受けた不動産を、高橋正雄が石川元清に二重に譲渡したため、右石川元清に対し昭和五〇年中に一六〇〇万円支払つて右不動産を買い取つた旨主張し、その証拠として<証拠略>を提出する。しかし、<証拠略>によれば、原告主張の不動産は、大宮市大字指扇字大西三五五三番所在の土地家屋と思われるが、右各証によれば、土地については昭和五〇年一一月一七日付で石川元清のため所有権移転登記がなされてはいるが、その後も原告に所有権移転登記がなされた形跡はなく、また建物についても、昭和五一年になつて石川が所有権保存登記をしていることが認められることに照らして、原告の右主張に副う原告本人尋問の結果は到底措信できず、また<証拠略>についてはその成立を認めるに足りる証拠がなく、他に原告の右主張事実を認めるに足りる証拠はない。
6 事業所得
原告の本件係争各年分の事業所得は、前記3の各算出所得金額から、前記4の各特別経費をそれぞれ控除して求めると、次のとおりになる。
昭和四七年分 八五二万九八八〇円
昭和四八年分 二八一八万二八六八円
昭和四九年分 四五八四万四六一六円
昭和五〇年分 五二六三万三九七七円
六 以上によれば、本件各課税処分のうち、更正処分は、いずれも本件係争各年における所得金額の範囲内でなされたものであり、また前記認定のとおり、原告は、昭和四七年分所得税につき、申告をしなかつたもので、更正処分により納付すべき所得税額に一〇〇分の一〇の割合を乗じて計算した金額(国税通則法一一九条四項)の無申告加算税が、昭和四八年ないし昭和五〇年分については、各更正処分により納付すべき所得税額に一〇〇分の五の割合を乗じて計算した金額(同法同条同項)の各過少申告加算税が課せられるべきであるから、本件各課税処分はいずれも適法である。
七 結論
以上のとおり、原告の本訴請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 小川英明 松井賢徳 原道子)
別表(一)~(四) <略>
別表1~4 <略>
別表5
昭和47年分 算出所得率計算表
(1) 標準偏差の計算
順号
<1>
記号
<2>
売上(収入)
金額
<3>
算出所得金額
<4>
算出所得率
(<3>/<2>)
<5>
算術平均
<6>
偏差
(<4>-<5>)
<7>
偏差の自乗
1
A
円
100,888,492
円
24,660,663
%
24.44
%
20.51
%
3.93
15.4449
2
B
115,937,790
23,924,930
20.63
〃
0.12
0.0144
3
C
111,437,600
30,515,395
27.38
〃
6.87
47.1969
4
D
174,423,921
16,787,543
9.62
〃
△10.89
118.5921
5
E
35,063,500
3,204,231
9.13
〃
△11.38
129.5044
6
F
89,096,100
14,618,141
16.40
〃
△4.11
16.8921
7
G
41,924,502
9,808,917
23.39
〃
2.88
8.2944
8
H
62,750,000
7,769,852
12.38
〃
△8.13
66.0969
9
I
26,679,839
5,414,070
20.29
〃
△0.22
0.0484
10
J
38,099,080
11,535,866
30.27
〃
9.76
95.2576
11
K
129,328,000
13,600,445
10.51
〃
△10.00
100.0000
12
L
37,730,480
6,032,171
15.98
〃
△4.53
20.5209
13
M
13,289,142
7,420,097
55.83
〃
35.32
1,247.5024
14
N
47,375,549
5,167,081
10.90
〃
△9.61
92.3521
15
基礎係数の合計(14件)
%
287.15
-
-
1,957.7175
16
算術平均 287.15/14
%
=20.51
17
標準偏差
S=√(1,957.7175/14)=11.82%
(2) 限界値の計算
順号
項目
数値
備考
1
標準偏差
11.82%
(1)の順号17
2
倍数
1.5倍
3
限界値
17.73%
1×2
4
算術平均
20.51%
(1)の順号16
5
上限
38.24%
4+3
6
下限
2.78%
4-3
(3) 平均値の計算
順号
項目
件数
数値
備考
1
基礎係数の合計
14
287.15%
(1)の順号15
2
除外される係数
1
55.83%
(1)の順号13
3
差引基礎係数の合計
13
231.32%
1-2
4
平均値
-
17.79%
231.32÷13
別表6
昭和47年分 差益率計算表
(1) 標準偏差の計算
順号
<1>
記号
<2>
売上(収入)
金額
<3>
差益金額
<4>
差益率
(<3>/<2>)
<5>
算術平均
<6>
偏差
(<4>-<5>)
<7>
偏差の自乗
1
A
100,888,492円
29,758,853円
29.49%
25.17%
4.32%
18.6624
2
B
115,937,790
27,424,929
23.65
〃
△1.52
2.3104
3
C
111,437,600
33,574,400
30.12
〃
4.95
24.5025
4
D
174,423,921
23,475,441
13.45
〃
△11.72
137.3584
5
E
35,063,500
3,783,700
10.79
〃
△14.38
206.7844
6
F
89,096,100
16,679,272
18.72
〃
△6.45
41.6025
7
G
41,924,502
11,693,831
27.89
〃
2.72
7.3984
8
H
62,750,000
9,546,916
15.21
〃
△9.96
99.2016
9
I
26,679,839
7,875,689
29.51
〃
4.34
18.8356
10
J
38,099,080
15,752,080
41.34
〃
16.17
261.4689
11
K
129,328,000
14,607,000
11.29
〃
△13.88
192.6544
12
L
37,730,480
7,173,000
19.01
〃
△6.16
37.9456
13
M
13,289,142
8,392,660
63.15
〃
37.98
1,442.4804
14
N
47,375,549
8,942,009
18.87
〃
△6.30
39.6900
15
基礎係数の合計(14件)
352.49%
-
-
2,530.8955
16
算術平均 352.49/14
25.17%
17
標準偏差
S=√(2,530.8955/14)=13.44%
(2) 限界値の計算
順号
項目
数値
備考
1
標準偏差
13.44%
(1)の順号17
2
倍数
1.5倍
3
限界値
20.16%
1×2
4
算術平均
25.17%
(1)の順号16
5
上限
45.33%
4+3
6
下限
5.01%
4-3
(3) 平均値の計算
順号
項目
件数
数値
備考
1
基礎係数の合計
14
352.49%
(1)の順号15
2
除外される係数
1
63.15%
(1)の順号13
3
差引基礎係数の合計
13
289.34%
1-2
4
平均値
22.25%
289.34÷13
別表7
昭和48年分 算出所得率計算表
(1) 標準偏差の計算
順号
<1>
記号
<2>
売上(収入)
金額
<3>
算出所得金額
<4>
算出所得率
(<3>/<2>)
<5>
算術平均
<6>
偏差
(<4>-<5>)
<7>
偏差の自乗
1
A
円
69,473,724
円
13,277,505
%
19.11
%
19.00
%
0.11
0.0121
2
B
214,228,495
27,601,957
12.88
〃
△6.12
37.4544
3
C
374,967,400
59,886,835
15.97
〃
△3.03
9.1809
4
D
45,212,271
11,760,505
26.01
〃
7.01
49.1401
5
E
33,935,000
△4,209,703
△12.40
〃
31.40
985.9600
6
F
51,459,950
9,675,133
18.80
〃
△0.20
0.0400
7
G
80,795,313
13,127,180
16.24
〃
△2.76
7.6176
8
H
71,055,000
6,725,929
9.46
〃
△9.54
91.0116
9
I
49,004,000
5,256,826
10.72
〃
△8.28
68.5584
10
J
32,963,000
10,571,469
32.07
〃
13.07
170.8249
11
K
20,558,148
3,557,317
17.30
〃
△1.70
2.8900
12
L
30,245,500
6,333,858
20.94
〃
1.94
3.7636
13
M
379,415,450
47,468,001
12.51
〃
△6.49
42.1201
14
N
118,228,750
15,484,131
13.09
〃
△5.91
34.9281
15
O
55,106,817
24,949,194
45.27
〃
26.27
690.1129
16
P
15,946,500
8,325,397
52.20
〃
33.20
1,102.2400
17
Q
92,855,986
12,001,141
12.92
〃
△6.08
36.9664
18
基礎係数の合計(17件)
323.09%
-
-
3,332.8211
19
算術平均 323.09/17
19.00%
20
標準偏差
S=√(3,332.8211/17)=14.00%
(2) 限界値の計算
順号
項目
数値
備考
1
標準偏差
14.00%
(1)の順号20
2
倍数
1.5倍
3
限界値
21.00%
1×2
4
算術平均
19.00%
(1)の順号19
5
上限
40.00%
4+3
6
下限
△2.00%
4-3
(3) 平均値の計算
順号
項目
件数
数値
備考
1
基礎係数の合計
17
323.09%
(1)の順号18
2
除外される係数
3
85.07%
(1)の順号5、15、16の合計
3
差引基礎係数の合計
14
238.02%
1-2
4
平均値
-
17.00%
238.02÷14
別表8
昭和48年分 差益率計算表
(1) 標準偏差の計算
順号
<1>
記号
<2>
売上(収入)
金額
<3>
差益金額
<4>
差益率
(<3>/<2>)
<5>
算術平均
<6>
偏差
(<4>-<5>)
<7>
偏差の自乗
1
A
円
69,473,724
円
19,464,606
%
28.01
%
24.28
%
3.73
13.9129
2
B
214,228,495
31,335,890
14.62
〃
△9.66
93.3156
3
C
374,967,400
65,553,233
17.48
〃
△6.80
46.2400
4
D
45,212,271
17,799,271
39.36
〃
15.08
227.4064
5
E
33,935,000
△3,691,400
△10.87
〃
35.15
1,235.5225
6
F
51,459,950
12,040,006
23.39
〃
△0.89
0.7921
7
G
80,795,313
15,904,043
19.68
〃
△4.60
21.1600
8
H
71,055,000
9,758,334
13.73
〃
△10.55
111.3025
9
I
49,004,000
7,683,000
15.67
〃
△8.61
74.1321
10
J
32,963,000
12,089,425
36.67
〃
12.39
153.5121
11
K
20,558,148
6,438,648
31.31
〃
7.03
49.4209
12
L
30,245,500
8,882,100
29.36
〃
5.08
25.8064
13
M
379,415,450
55,250,066
14.56
〃
△9.72
94.4784
14
N
118,228,750
16,955,850
14.34
〃
△9.94
98.8036
15
O
55,106,817
26,548,917
48.17
〃
23.89
570.7321
16
P
15,946,500
9,346,500
58.61
〃
34.33
1,178.5489
17
Q
92,855,986
17,386,392
18.72
〃
△5.56
30.9136
18
基礎係数の合計(17件)
412.81%
-
-
4,026.0001
19
算術平均 412.81/17
24.28%
20
標準偏差
S=√(4,026.0001/17)=15.38%
(2) 限界値の計算
順号
項目
数値
備考
1
標準偏差
15.38%
(1)の順号20
2
倍数
1.5倍
3
限界値
23.07%
1×2
4
算術平均
24.28%
(1)の順号19
5
上限
47.35%
4+3
6
下限
1.21%
4-3
(3) 平均値の計算
順号
項目
件数
数値
備考
1
基礎係数の合計
17
412.81%
(1)の順号18
2
除外される係数
3
95.91%
(1)の順号5、15、16の合計
3
差引基礎係数の合計
14
316.90%
1-2
4
平均値
-
22.63%
316.90÷14
別表9
昭和49年分 算出所得率計算表
(1) 標準偏差の計算
順号
<1>
記号
<2>
売上(収入)
金額
<3>
算出所得金額
<4>
算出所得率
(<3>/<2>)
<5>
算術平均
<6>
偏差
(<4>-<5>)
<7>
偏差の自乗
1
A
円
73,511,250
円
11,235,712
%
15.28
%
21.67
%
△6.39
40.8321
2
B
46,477,084
8,809,537
18.95
〃
△2.72
7.3984
3
C
197,755,500
66,634,093
33.69
〃
12.02
144.4804
4
D
7,546,011
1,929,980
25.57
〃
3.90
15.2100
5
E
26,265,600
3,702,438
14.09
〃
△7.58
57.4564
6
F
33,738,809
2,984,887
8.84
〃
△12.83
164.6089
7
G
47,928,932
8,420,884
17.56
〃
△4.11
16.8921
8
H
32,462,200
4,665,936
14.37
〃
△7.30
53.2900
9
I
44,680,000
3,154,634
7.06
〃
△14.61
213.4521
10
J
66,960,000
5,409,595
8.07
〃
△13.60
184.9600
11
K
182,288,345
53,213,386
29.19
〃
7.52
56.5504
12
L
17,987,398
5,540,952
30.80
〃
9.13
83.3569
13
M
32,826,000
7,085,262
21.58
〃
△0.09
0.0081
14
N
34,560,000
5,452,469
15.77
〃
△5.90
34.8100
15
O
143,013,920
15,863,825
11.09
〃
△10.58
111.9364
16
P
110,682,000
18,252,375
16.49
〃
△5.18
26.8324
17
Q
29,646,500
13,164,892
44.40
〃
22.73
516.6529
18
R
11,863,250
5,214,917
43.95
〃
22.28
496.3984
19
S
9,659,305
3,379,399
34.98
〃
13.31
177.1561
20
基礎係数の合計(19件)
411.73%
-
-
2,402.2820
21
算術平均 411.73/19
21.67%
22
標準偏差
S=√(2,402.2820/19)=11.24%
(2) 限界値の計算
順号
項目
数値
備考
1
標準偏差
11.24%
(1)の順号22
2
倍数
1.5倍
3
限界値
16.86%
1×2
4
算術平均
21.67%
(1)の順号21
5
上限
38.53%
4+3
6
下限
4.81%
4-3
(3) 平均値の計算
順号
項目
件数
数値
備考
1
基礎係数の合計
19
411.73%
(1)の順号20
2
除外される係数
2
88.35%
(1)の順号17、18の合計
3
差引基礎係数の合計
17
323.38%
1-2
4
平均値
-
19.02%
323.38÷17
別表10
昭和49年分 差益率計算表
(1) 標準偏差の計算
順号
<1>
記号
<2>
売上(収入)
金額
<3>
差益金額
<4>
差益率
(<3>/<2>)
<5>
算術平均
<6>
偏差
(<4>-<5>)
<7>
偏差の自乗
1
A
円
73,511,250
円
15,823,879
%
21.52
%
33.83
%
△12.31
151.5361
2
B
46,477,084
11,822,154
25.43
〃
△8.40
70.5600
3
C
197,755,500
73,532,476
37.18
〃
3.35
11.2225
4
D
7,546,011
7,213,511
95.59
〃
61.76
3,814.2976
5
E
26,265,600
4,423,100
16.83
〃
△17.00
289.0000
6
F
33,738,809
4,990,159
14.79
〃
△19.04
362.5216
7
G
47,928,932
11,028,932
23.01
〃
△10.82
117.0724
8
H
32,462,200
7,161,200
22.06
〃
△11.77
138.5329
9
I
44,680,000
4,480,000
10.02
〃
△23.81
566.9161
10
J
66,960,000
7,630,000
11.39
〃
△22.44
503.5536
11
K
182,288,345
70,122,095
38.46
〃
4.63
21.4369
12
L
17,987,398
9,257,398
51.46
〃
17.63
310.8169
13
M
32,826,000
8,790,388
26.77
〃
△7.06
49.8436
14
N
34,560,000
5,788,895
16.75
〃
△17.08
291.7264
15
O
143,013,920
22,425,720
15.68
〃
△18.15
329.4225
16
P
110,682,000
38,637,928
34.90
〃
1.07
1.1449
17
Q
29,646,500
15,318,772
51.67
〃
17.84
318.2656
18
R
11,863,250
6,429,020
54.19
〃
20.36
414.5296
19
S
9,659,305
7,257,945
75.13
〃
41.30
1,705.6900
20
基礎係数の合計(19件)
642.83%
-
-
9,468.0892
21
算術平均 642.83/19
33.83%
22
標準偏差
S=√(9,468.0892/19)=22.32%
(2) 限界値の計算
順号
項目
数値
備考
1
標準偏差
22.32%
(1)の順号22
2
倍数
1.5倍
3
限界値
33.48%
1×2
4
算術平均
33.83%
(1)の順号21
5
上限
67.31%
4+3
6
下限
0.35%
4-3
(3) 平均値の計算
順号
項目
件数
数値
備考
1
基礎係数の合計
19
642.83%
(1)の順号20
2
除外される係数
2
170.72%
(1)の順号4、19の合計
3
差引基礎係数の合計
17
472.11%
1-2
4
平均値
27.77%
472.11÷17
別表11
昭和50年分 算出所得率計算表
(1) 標準偏差の計算
順号
<1>
記号
<2>
売上(収入)
金額
<3>
算出所得金額
<4>
算出所得率
(<3>/<2>)
<5>
算術平均
<6>
偏差
(<4>-<5>)
<7>
偏差の自乗
1
A
円
138,467,487
円
12,772,267
%
9.22
%
21.75
%
△12.53
157.0009
2
B
24,408,623
6,463,279
26.47
〃
4.72
22.2784
3
C
201,186,144
46,024,725
22.87
〃
1.12
1.2544
4
D
16,410,146
9,000,663
54.84
〃
33.09
1,094.9481
5
E
14,100,000
891,739
6.32
〃
△15.43
238.0849
6
F
69,952,830
6,534,655
9.34
〃
△12.41
154.0081
7
G
8,758,472
3,316,759
37.86
〃
16.11
259.5321
8
H
5,130,000
3,252,302
63.39
〃
41.64
1,733.8896
9
I
18,744,000
304,748
1.62
〃
△20.13
405.2169
10
J
130,997,080
13,723,837
10.47
〃
△11.28
127.2384
11
K
153,591,523
75,293,594
49.02
〃
27.27
743.6529
12
L
39,774,051
3,905,742
9.81
〃
△11.94
142.5636
13
M
122,690,253
20,089,367
16.37
〃
△5.38
28.9444
14
N
20,100,000
307,752
1.53
〃
△20.22
408.8484
15
O
102,778,700
4,044,991
3.93
〃
△17.82
317.5524
16
P
109,314,680
14,021,010
12.82
〃
△8.93
79.7449
17
Q
36,473,200
13,552,261
37.15
〃
15.40
237.1600
18
R
12,856,700
4,624,787
35.97
〃
14.22
202.2084
19
S
46,786,400
2,028,127
4.33
〃
△17.42
303.4564
20
基礎係数の合計(19件)
413.33%
-
-
6,657.5832
21
算術平均 413.33/19
21.75%
22
標準偏差
S=√(6,657.5832/19)=18.71%
(2) 限界値の計算
順号
項目
数値
備考
1
標準偏差
18.71%
(1)の順号20
2
倍数
1.5倍
3
限界値
28.06%
1×2
4
算術平均
21.75%
(1)の順号21
5
上限
49.81%
4+3
6
下限
△6.31%
4-3
(3) 平均値の計算
順号
項目
件数
数値
備考
1
基礎係数の合計
19
413.33%
(1)の順号20
2
除外される係数
2
118.23%
(1)の順号4、8の合計
3
差引基礎係数の合計
17
295.10%
1-2
4
平均値
17.35%
295.10÷17
別表12
昭和50年分 差益率計算表
(1) 標準偏差の計算
順号
<1>
記号
<2>
売上(収入)
金額
<3>
差益金額
<4>
差益率
(<3>/<2>)
<5>
算術平均
<6>
偏差
(<4>-<5>)
<7>
偏差の自乗
1
A
円
138,467,487
円
17,419,821
%
12.58
%
32.63
%
△20.05
402.0025
2
B
24,408,623
9,073,546
37.17
〃
4.54
20.6116
3
C
201,186,144
55,014,558
27.34
〃
△5.29
27.9841
4
D
16,410,146
12,898,146
78.59
〃
45.96
2,112.3216
5
E
14,100,000
1,900,000
13.47
〃
△19.16
367.1056
6
F
69,952,830
8,585,485
12.27
〃
△20.36
414.5296
7
G
8,758,472
5,507,422
62.88
〃
30.25
915.0625
8
H
5,130,000
5,130,000
100.00
〃
67.37
4,538,7169
9
I
18,744,000
1,294,000
6.90
〃
△25.73
662.0329
10
J
130,997,080
16,564,630
12.64
〃
△19.99
399.6001
11
K
153,591,523
95,179,467
61.96
〃
29.33
860.2489
12
L
39,774,051
7,232,951
18.18
〃
△14.45
208.8025
13
M
122,690,253
23,809,572
19.40
〃
△13.23
175.0329
14
N
20,100,000
976,918
4.86
〃
△27.77
771.1729
15
O
102,778,700
11,787,997
11.46
〃
△21.17
448.1689
16
P
109,314,680
44,097,908
40.34
〃
7.71
59.4441
17
Q
36,473,200
17,002,536
46.61
〃
13.98
195.4404
18
R
12,856,700
5,616,700
43.68
〃
11.05
122.1025
19
S
46,786,400
4,566,393
9.76
〃
△22.87
523.0369
20
基礎係数の合計(19件)
620.09%
-
-
13,223.4174
21
算術平均 620.09/19
32.63%
22
標準偏差
S=(13,223.4174/19)=26.38%
(2) 限界値の計算
順号
項目
数値
備考
1
標準偏差
26.38%
(1)の順号22
2
倍数
1.5倍
3
限界値
39.57%
1×2
4
算術平均
32.63%
(1)の順号21
5
上限
72.20%
4+3
6
下限
△6.94%
4-3
(3) 平均値の計算
順号
項目
件数
数値
備考
1
基礎係数の合計
19
620.09%
(1)の順号20
2
除外される係数
2
178.59%
(1)の順号4、8の合計
3
差引基礎係数の合計
17
441.50%
1-2
4
平均値
―
25.97%
441.50÷17